顎関節症の原因とは?主要な症状やタイプを知る
口を開くと「カクッ」「ジャリッ」と音が鳴ったり、痛みや開けにくさを感じたりするのが顎関節症の特徴です。
顎関節症についてなんとなくは知っているけれど、原因や具体的な症状やどういったタイプがあるかまでを知っている方は多くないでしょう。
今回は、顎関節症の原因や主要な症状などについて解説していきます。
顎関節症についての基本的な知識を身につけ、予防に努めたい方や顎関節症の可能性があるかも不安に思う方はぜひ最後までご覧ください。
顎関節症の基本知識
顎関節症とは、口を開こうとすると耳の穴の前にある顎関節から「カクッ」「ジャリッ」と音が鳴ったり、顎関節や顎周辺の筋肉が痛んだりする症状が出る疾患です。
顎関節症は、一生の間で2人に1人は該当すると言われているほど多くの方が経験します。
症状として音が鳴るだけであれば大きな実害もないため、治療の必要は基本的には必要ありません。
ただし、口を開け閉めした時に痛みや開けにくさを感じるようになれば早い段階で歯科医院を受診しましょう。
続いては、顎関節症の原因などについて解説していきます。
顎関節症の原因は大きく2つ
口を開け閉めしたりすると顎に違和感を感じさせる顎関節症ですが、原因としてはさまざまな要因が複合的に絡み合って発症します。
今回はその中でも特に代表的とされている以下の2つについて解説していきます。
- 噛み合わせ
- 生活習慣
1.嚙み合わせに問題がある
顎関節症の主な原因の1つめは噛み合わせです。
生まれつきの歯並びの関係で噛み合わせが上手くいかず、顎関節に負担がかかってしまい、それが原因となり顎関節症となります。
また、生まれつきの歯並び以外でも乳歯段階で虫歯になり歯が抜けたり幼児期に歯が抜けたりして歯並びが乱れた場合にも注意が必要です。
噛み合わせにおいて特に重要な役割を果たすのが糸切り歯、一般的には犬歯と呼ばれる歯です。
糸切り歯の噛み合わせは顎の安定した噛み合わせに重要な役割を果たすため、歯並びの根幹となる幼少期の段階から注意するようにしましょう。
2.生活習慣の乱れ
顎関節症の主な原因の2つめは生活習慣です。
現在はいろいろな情報に触れる機会も多く、日々ストレスを抱える機会が多くなっています。
ストレスは身体の緊張を高め、無意識のうちに顎や顎の周辺の組織に負担を与えています。
また、ストレスが溜まっている状態では睡眠時に無意識に食いしばりや歯ぎしりなどをしている場合も多いです。
このような顎や顎の周辺組織に負担を欠ける原因が多く存在し、顎関節症の原因となります。
また、頬杖をつく習慣があったり寝る時にうつ伏せで寝ることが多かったり高すぎる枕を使っていたりする方も注意しましょう。
自身の何気ない生活習慣に問題がないかどうかをチェックする意味でも1度歯科医院で相談をしてみるのもよいかもしれません。
顎関節症の主要な症状は3つ
顎関節症の主要な症状は大きく3つあります。
- 音が鳴る、違和感を感じる
- 口が大きく開けられない
- 顎が痛くなる、疲れる
それぞれ順番に解説していきます。
1.音が鳴る、違和感を感じる
顎を動かすときに音が鳴るのは顎関節症の大きな特徴の1つです。
顎関節症によって発生する口を開閉した時になる音には種類があり、音の種類によって症状の度合いを予測できます。
口を開け閉めするときに、「コリッ」「コクッ」というような音が鳴る場合は噛み合わせの不良などによって下顎骨がスムーズに動かないため生じます。
痛みを伴わない場合がほとんどであるため、軽視されがちですが放置しておくと悪化する可能性もあるため注意しましょう。
口を開け閉めした時に、「ジャyリジャリ」といった音が鳴った場合は注意が必要です。
顎からこの音が鳴ると顎関節症が進行している可能性が高いためできるだけ早く受診してください。
2.口が大きく開けられない
健康な状態であれば、口を開けると人差し指から薬指までの3本を縦に向けた状態で入りますが、顎関節症では1本か2本しか入りません。
口が大きく開けられなくても会話などには支障はきたしませんが、1口量を調整する必要など日常生活に支障をきたします。
口が大きく開けられない状態を放置しておくと、関節円板の癒着などの二次障害が発生するため、口が大きく開けられないと感じた段階で早期受診しましょう。
口が開けにくいかもと感じたら、まずは指が3本入るかどうかを確認してください。
3.顎が痛くなる、疲れる
食事の時やあくびをした時に顎に痛みやだるさを感じるのも顎関節症の大きな特徴の1つです。
食事のたびに顎や顎周辺に痛みを感じるのは非常にストレスです。
人は食事をしなくては生きていけません。
顎を動かすと痛みを感じる場合は、すぐに歯科医院を受診しましょう。
痛みの種類としては、顎関節そのものが痛む場合と、顎関節の軟骨が痛む場合の大きく2種類あります。
どちらの場合もまずは顎関節を安静にし、可能な限り早く歯科医院を受診してください。
顎関節症には大きく4つのタイプがある
顎関節症には症状の特徴によって大きく4つのタイプに分類可能です。
- 筋肉の異常により起こるタイプ
- 関節靱帯の異常によって起こるタイプ
- 関節円板の異常によっておこるタイプ
- 変形性関節症によって起こるタイプ
それぞれどのような特徴があるかについて解説していきます。
1.筋肉の障害により起こるタイプ
顎の筋肉(咬筋や側頭筋など)の使い過ぎによって起こる、いわゆる筋肉痛がこのタイプです。
咬筋が原因の場合は頬、側頭筋が原因の場合はこめかみにそれぞれ痛みを感じます。
このタイプの場合は特段治療が必要でない場合も多く、筋肉のマッサージや顎を安静にして休めてあげることで改善する場合が多いです。
2.関節靱帯の異常によって起こるタイプ
イメージとしては顎のねんざです。
原因としては、無理に大きな口を開けたり、硬すぎる物を食べたり、歯ぎしりや食いしばりなどです。
顎関節の位置は耳の穴のすぐ前にあるため、耳の異常と勘違いしがちなため注意しましょう。
見分け方としては口を開けたときに顎に違和感を感じるかどうかです。
対処方法としては、口を大きく開けすぎないようにしたり、固いものを食べるのを控えたりなどです。
安静にしても痛みがなかなか収まらない場合は歯科医院を受診してください。
3.関節円板の異常によって起こるタイプ
関節円板は、上顎と下顎の間にあるクッションのような役割を果たす組織です。
クッションの役割を果たす部分に異常をきたすため、口を動かすと「カクッ」「ジャリッ」といった音が鳴ります。
症状が軽い段階では音が鳴るだけですが、放置し悪化すると口の開けにくさにまで発展するため注意しましょう。
原因がわからなければ音が鳴っている段階で早めに歯科医院を受診し、原因を突き止め症状の進行を防ぐようにしてください。
4.変形性関節症によって起こるタイプ
関節を形作る下顎骨の関節突起の変形によって起こるのがこのタイプです。
このタイプはレントゲンなどで診断しないと鑑別できません。
いったん骨が変形してしまうと治療は困難なため、マウスピースや口を開く練習を通じて、痛まず十分に口が開く状態の獲得を目指します。
顎関節症を悪化させる2つの原因
顎関節症は治療を終えたとしても再発する可能性が高い点が特徴です。
また、顎関節症になる可能性は誰もが秘めています。
顎関節症の可能性を高めたり、症状を悪化させたりする可能性の高いのは以下の2点です。
- 日常生活の過ごし方
- 自己流のセルフケア
それぞれ簡単に解説していきます。
1.日常生活の過ごし方
顎関節症は日常生活の過ごし方が重要です。
頬杖をつく習慣のある方は注意してください。
頭の重さは体重の約10%程度あるといわれており、頬杖をつくと頭の重さを片方の顎だけで支える形となるため大きく負担がかかります。
そのほか、うつ伏せで寝る習慣のあるかたや噛み締め癖があるなども注意が必要です。
生活習慣に不安がある場合は、歯科医院を受診し相談してみてください。
2.自己流のセルフケア
自己流のセルフケアをしている方も注意が必要です。
知識がない状態で自己流のセルフケアをしていると、かえって症状を悪化させる可能性があります。
症状を悪化させないためにもまずは歯科医院を受診し、正しいケアの方法などを聞いたうえでセルフケアを実施しましょう。
まとめ
顎関節症の原因について解説しました。
顎関節症は、口を開け閉めすると音が鳴ったり開けにくさや痛みを感じたりする疾患です。
顎関節症は身近な疾患ですが、詳しく知らない方も多い疾患です。
森下ベリタス歯科は顎関節症についての知見・経験豊富な医師が在籍しています。
顎関節症について不安を抱えていたり悩みがあったりする方はぜひお気軽にご相談ください。