顎関節症は放置すべきではない!症状や理由について解説します

顎を動かすと「カクッ」「ジャリッ」と音が鳴ったり、口を開けようとすると開けにくかったり痛みを感じたりするのが顎関節症です。
しかし、実際のところ顎関節症がどういった疾患かについて知っているかと質問されると答えられる方は多くはありません。
今回は、顎関節症とはどういった症状なのか、顎関節症を放置するとどのような問題が起きるのか、放置すべきでない理由などについて解説します。
顎関節症について知りたい、顎関節症かどうか気になっている方にとって役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
顎関節症とはそもそもどういった状態なのか
顎関節症とは、口を開けたときに「カクッ」「ジャリッ」と音が鳴る。
口を開け閉めすると顎関節や顎の筋肉に痛みが走ったり、口を思ったように開け閉めできなくなったりする症状が起きる状態です。
顎関節は、耳の孔の少し前に位置する関節で顎の骨と頭蓋骨の骨を結び下顎の動きを支える働きがあり、左右にそれぞれ1つずつあります。
顎関節症は10代から発症する人が出始め、20~30代で医療機関への受診を始める方が多いです。
症状は男女・年齢を問わず発症しますが、統計的には男性よりも女性、年を経た方よりも若い方に多いのが特徴です。
症状も多岐に渡り、軽く音が鳴るだけの方や痛みや口の開け閉めのしにくさで生活に支障をきたしている方もいます。
また、顎関節症は放置をしておくと二次被害、別の身体の不調などにもつながる可能性が高いため注意が必要です。
続いては、顎関節症の代表的な症状について解説します。
放置すべきでない!?顎関節症の代表的な症状
顎関節症の代表的な症状は以下の3つです。
- 違和感を感じたり音が鳴ったりする
- 顎が痛くなったり疲れたりする
- 口が大きく開けられなくなる
それぞれ具体的にどういった症状が出てくるのかについて解説していきます。
1.違和感を感じたり音が鳴ったりする
顎関節症の症状の代表的な症状の1つめは、口を開け閉めするときに違和感を感じたり音が鳴ったりします。
この口を開けたときになる音は、「関節雑音」と呼ばれ大きく2つの種類があります。
1つめは、クリック音と呼ばれる口を開けたときに「カクッ」「コキッ」と鳴る音です。
クリック音の原因は顎関節の中の関節円板と呼ばれる、クッションのような役割を果たす組織のズレです。
クッションの役割を果たす関節円板の位置がズレたことにより、口を開け閉めした時に音が鳴ります。
2つめは、クレピタス音と呼ばれる口を開けたときに「グニュ」「ジャリッ」と鳴る音です。
クレピタス音の原因は、顎の関節を作る骨の変形です。
顎関節を構成する骨が変形してしまい、顎を開け閉めした時の動きで骨同士がこすれあって音が鳴ります。
2.顎が痛くなったり疲れたりする
顎が痛くなったり疲れたりするのも顎関節症の代表的な症状の1つです。
顎関節の片方もしくは両方に慢性的な違和感や痛みが生じたり、口を開いたときに痛みを感じたりします。
また、柔らかいものを噛んだときには感じにくいですが、固いものを食べる時にしっかりと噛むと痛みを感じるのも大きな特徴の1つです。
痛みだけでなくだるさや違和感などを感じるのも顎関節症の特徴といえます。
これまでは感じなかったのに、食事をしていると顎がいつもよりも疲れやすい気がする、何らかの違和感を感じるなどの異常を感じた場合は受診をおすすめします。
3.口が大きく開けられなくなる
健康な状態で口を開くと、縦向きにした人差し指から薬指までの3本は入りますが、顎関節症になると1本ないしは2本程度しか入りません。
口が開けられなくなると食事の時の1口量が小さくなったり、会話時に話しにくかったり表情を変えにくかったりと日常生活でさまざまなストレスにさいなまれます。
また、くしゃみやあくびなど生理現象で痛みや不快感も感じてしまうなどの問題も生じるなど困りごとにはつきません。
口が開けられない状態を放置しておくと二次被害を生じさせる可能性も高いため、異変を感じた場合は速やかに受診してください。
顎関節症の原因は放置すべきではない
顎関節症の原因は従来噛み合わせにあるとされていましたが、細菌では噛み合わせ以外にも様々な要因が原因であるとされています。
- 精神的なストレス
- 噛み合わせ
- 生活習慣
この章では、顎関節症の原因とされている要因について1つずつ解説していきます。
1.精神的なストレス
近年では、過度なストレスと顎関節症には大きな関係性があるとされています。
身体に過度なストレスがかかると、筋肉の緊張が強くなり過度に力が入ってしまい身体のバランスが崩れたり、無意識のうちに歯を食いしばったりします。
顎や歯に不必要な力が加わり、すり減ってしまい顎関節症へとつながるため注意が必要です。
また、ストレス過多になると無意識に歯ぎしりや食いしばりなどもしがちなのでその点にも注意が必要です。
不必要な力が加わり、顎関節を構成する骨がズレてしまい顎関節症につながります。
2.噛み合わせ
従来、顎関節症の最大の要因とされていたのが噛み合わせです。
噛み合わせ・歯並びが悪いと、顎関節に負担がかかってしまい顎関節症になってしまいます。
噛み合わせで特に重要な役割を果たすのが糸切り歯(犬歯)で、顎の安定に重要な役割を果たします。
また、虫歯などで抜歯をするとバランスや噛み合わせにも悪影響を与える可能性も高いため日ごろからの歯のケアは重要です。
顎関節症を未然に防ぐ意味でも、定期的な歯のチェックは欠かさないようにしましょう。
3.生活習慣
生活習慣も顎関節症を引き起こす大きな要因の1つです。
顎関節症に影響を及ぼす可能性のある生活習慣はたくさんありますが、代表的なものをいくつか紹介します。
- 頬杖をつく
- 歯ぎしり
- うつ伏せで寝る
- 上下の歯を接触させる癖
- 食べる時片方の頬ばかりで食べる癖
こういった生活習慣は知らず知らずのうちに顎関節や周辺組織に負担をかけてしまいます。
1つ1つは些細なものかもしれませんが、積み重なっていくと身体に負担をかけバランスを崩してしまうため、当てはまるものがある方は注意してください。
顎関節症を放置するとどうなる!?
顎関節症は症状が関節異音(クリック音)だけであれば、痛みなどもないためついつい軽視しがちです。
しかし、目立った不都合が生じていないからといって顎関節症は放置すべきではありません。
顎関節症を放置するとどうなるかについて解説していきます。
1.自然に治る可能性について
現在、顎関節症の主要な原因の1つとしてストレスが挙げられており、ストレスの原因を緩和・解消することで顎関節症の症状が改善・治癒する可能性はあります。
ただし、顎関節症の原因がストレスではなく生活習慣や顎関節・顎関節周辺組織の問題であった場合は放置していても症状の改善・治癒は見込みにくいため注意しましょう。
顎関節症の原因が何にあるかの判断は専門家でなければできません。
顎関節症の症状が見られた場合は、大きな問題が生じる前に一度歯科医院などを受診し原因が何にあるかをはっきりさせましょう。
原因がわかれば対処方法もわかります。
顎関節症は日常生活に不都合をきたす症状が多いため、放置せずまずは受診するようにしてください。
2.放置する危険性について
顎関節症は放置すると顎関節の不調だけでなく、全身の不調にも発展する危険性があるため注意しましょう。
頭の重さは全身の体重の約10%程度あるといわれています。
顎関節・顎は頭を支え身体のバランスを保つ重要役割を果たします。
噛み合わせが悪化すると、顔面骨格のゆがみや頸椎・仙骨などにも歪みを生じ、全身症状を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
顎関節症が悪化すると顔面だけでなく、肩や腰、手足など全身にまで別の症状が起きる可能性があるため注意しましょう。
3.セルフケアについて
顎関節症はセルフケアも重要な要素です。
症状の出始めや、軽い段階であればセルフケアで対処できる場合もありますし、治療を受けた後の再発予防にもセルフケアの知識は必要です。
注意すべき点としては、知識がまったくない状態の自己判断でのセルフケアは実施すべきではありません。
自己流のセルフケアでは逆に症状を悪化させたり、別の問題を発生させたりする可能性もあります。
セルフケアを実施する場合は、歯科医院を受診し専門家の指導を受けたうえで実施してください。
まとめ
顎関節症の症状や放置する問題などについて解説をしました。
顎関節症は症状が音が鳴るだけなどの軽いものだけであれば、特段治療の必要ない場合が多いです。
しかし、顎関節症は放置をしておくと全身の不具合を引き起こす可能性もあるため症状が現れた場合は歯科医院への受診をおすすめします。
森下ベリタス歯科では顎関節症の知見・治療経験豊富な医師が在籍しており、顎関節症のサポート体制が整っています。
顎関節症について知りたい、ケアや対策を知りたいなどのお悩みの相談も歓迎していますので気になる方はぜひ一度お気軽にご相談ください。