顎関節症の治し方と再発を予防するためのポイントとは
アゴを動かすと、「カクッ」「コキッ」と音が鳴った経験のある方は少なくないのではないでしょうか。
アゴを動かしたときに音が鳴るのは、顎関節症の代表的な症状の1つです。
顎関節症を聞いたことはあっても症状や治し方・対処方法などをご存じでない方がほとんどかと思います。
今回は、顎関節症の基礎知識や治し方、再発を予防するためのポイントなどを解説します。
顎関節症について知りたい、顎関節症で悩んでいるといった方はぜひ最後までご覧ください。
顎関節症とは
顎関節症とは、口を開こうとした際に耳の穴の前にある顎関節や顎を動かす筋肉が痛んだり、音が鳴る・十分に動かせなかったりといった症状が出る疾患です。
実は顎関節症は一生を通じ、2人に1人は経験すると言われているほど多くの方が経験する身近な疾患です。
音が鳴るだけであれば、首や肩を回した時に音が鳴る場合と変わらず特に変わりはないため心配はありません。
顎関節は耳のすぐ前にあるため音が気になる方は多いですが、音を消すためには手術が必要です。
特段痛み等がないのであれば音が気になるとしても、わざわざ手術をする必要はないでしょう。
顎関節症の治し方とは
顎関節症の治し方には以下の3つのアプローチがあります。
- 歯科医院で治療を受ける
- 専門医による治療を受ける
- 家庭でできるセルフケア
顎関節症をしっかりと治療したいと考える場合は、医師の診察・治療を受けるべきです。
顎関節症の治療は歯科医師もしくは顎関節症の専門医が実施できます。
それぞれどのような違いがあるかについて解説します。
1.歯科医院で治療を受ける
歯科医院での治療では一般的にマウスピースによる治療を行います。
マウスピースとは、上顎ないしは下顎の歯列に取り付けるプラスチックの装置です。
マウスピースを夜間の就寝時に使用し、睡眠中無意識に生じる咬合の不具合を原因とする顎関節や筋肉への負担を軽減させます。
痛みが強い場合は鎮痛薬の投与や、痛む箇所に対し近赤外線レーザーの照射や、電気刺激で筋肉を自動収縮させ血液の流れを改善させるなどさまざまな方法で症状の改善を目指します。
目安として、治療を開始して2週間程度経過しても症状に変化・改善がみられなければ担当医に相談をして顎関節症の専門医を紹介してもらいましょう。
2.専門医による治療を受ける
専門医による治療では、歯科医院より引き継いだ治療結果・症状等に基づき、患者様が現在どのような状態・病態であるかを細かく検討します。
また、状態・病態だけでなく根本の原因・病因についても掘り下げ、病態の改善と病因の是正に対するアプローチを並行して行います。
顎関節症の治療では外科的な治療を行うことはほとんどありませんが、ごく限られたケースでは外科的治療が選択される場合もある点には注意が必要です。
外科的な治療では、関節鏡を使用した手術や関節を切開する手術などがあります。
3.家庭でできるセルフケア
顎関節症の痛みや口の開きにくさなどの症状の改善には、家庭での患者様自身による家庭でのセルフケアが重要です。
ただし、前提条件となる注意点として医師の指導などの根拠のない患者様の独自判断でのセルフケアは望ましくない点は理解しておきましょう。
きちんとした指導を受けた上でのセルフケアには十分な改善効果があります。
むしろ、家庭でのセルフケア無くしては症状の改善・完全消失はありえないといっても過言ではありません。
セルフケアがきちんとできていれば症状も再発しなくなるため、しっかりとセルフケアの方法を習得し実践できるようにしましょう。
顎関節症の予防について
顎関節症の予防で大事なのは片噛みをせず、1口20~30回程度咀嚼するようにし、噛む時にはしっかりと臼歯を使うといった適切な咀嚼習慣の習得と実践です。
基本的に、関節はよく使うことで筋肉との連携がよくなり相互作用によってどちらも柔軟に動くようになり、顎関節も例外ではありません。
日々の生活の中で顎関節をしっかりと使う習慣ができていれば関係する筋肉もしっかりと発達し、顎関節症の予防につながります。
正しい咀嚼の仕方や咀嚼・顎関節に悪影響を与える生活習慣を知るためにも定期的に歯科医院を受診することをおすすめします。
顎関節症の症状について
顎関節症の代表的な症状は大きく以下の3つです。
- 顎が痛くなる、疲れる
- 口が大きく開けられない
- 音が鳴る、違和感を感じる
それぞれ順番に解説していきます。
1.顎が痛くなる、疲れる
顎関節症の代表的な症状の1つであり、口を開け閉めすると痛くなったり疲れたりするのが特徴です。
以下のように食事時や口の開閉時に顎関節に痛みを感じたり、咀嚼筋に痛み・違和感を感じたりします。
- 顎が思ったように動かない
- 口の開閉時に痛みを感じる
- 食べ物が噛みにくい
- 食事をしていると顎がだるくなる
痛みや違和感を感じた場合は、悪化する前に早めに歯科医院に相談をしましょう。
2.口が大きく開けられない
以下に当てはまる場合は、顎関節症の可能性が高いです。
- 口を大きく開けられない
- 口を開けたときに人差し指・中指・薬指の3本が入らない
- あくびやりんごの丸かじりができない
口が大きく開けられない原因として考えられるのは、関節靱帯の異常です。
イメージとしては顎のねんざを想像してください。
原因としては、無理に口を開けてしまったり、固いものを食べたり、歯ぎしりや食いしばりが当てはまります。
対処法としては、あくびを控えたり、食事では固いものを避け小さくカットし口を極力開けたりしないようにしましょう。
3.音が鳴る、違和感を感じる
食事中や口を開けたタイミングで、カクッ・ジャリッといった音が顎関節からなることがあります。
原因としては顎関節の関節円板がずれているためです。
関節円板とは、上顎と下顎の骨の間に存在するクッションの役割を果たす組織です。
クッションの役割を果たす関節円板がずれることにより、上顎と下顎の骨がこすれてしまい異音が生じます。
症状が関節から鳴る雑音だけであれば特段治療の必要はありません。
関節円板のずれが悪化すると関節から異音は出なくなり、代わりに口が開けられなくなる開口障害が発生します。
開口障害にまで発展してしまうと、歯科医院での治療が必要になるため注意しましょう。
顎関節症の治し方と日常生活でできるセルフケア
顎関節症は開口障害は基本的には歯科医院で治療を受けましょう。
治療を受け、症状が改善した後は日常生活でのセルフケア・チェックによる再発予防が非常に重要です。
まず、チェックするポイントは上下の歯を接触させる癖(TCH)の有無です。
TCHのある方は、習慣的に上下の歯を接触させています。
そのため、筋肉が疲労し顎の関節に負担がかかり顎に悪影響を与えてしまうのです。
「歯を離す」「力を抜く」などの習慣を意識づけましょう。
その他、開口訓練や筋肉の緊張をほぐすリラクゼーション・マッサージも効果的です。
開口訓練とは、口を開ける練習です。
関節の動きを良くする効果やストレッチ効果が期待できます。
具体的な方法については歯科医院で専門家による指導を受けましょう。
自己判断や素人知識で実施するとかえって不具合を生じさせてしまいます。
顎関節症に関係する、咬筋や側頭筋などの筋肉のマッサージも効果的です。
血流を促し緊張をほぐすことで、痛みの改善にもつながります。
また、咬筋や側頭筋だけでなく顔や首、肩周りの軽いストレッチなども効果的です。
顎関節症は再発予防も重要
顎関節症は治療やセルフケアはもちろんのこと、再発予防の考え方も非常に重要です。
再発予防のためには生活習慣の見直しが重要となってきます。
日常生活の中で無意識のうちに顎に負担のかかる行動や習慣をしている場合は改めていきましょう。
日常生活で顎に負担のかかりやすい代表的な生活習慣は以下の2つです。
- ほおづえをつく
- うつ伏せで寝る
無意識のうちにしてしまっている方は多いと思いますので、ささいなことでも意識して改善していきましょう。
そのほか、口を大きく開けすぎないようにしたり、食事の時は1口につき20~30回程度しっかりと咀嚼するなども効果的です。
細かいことでも組み合わせることで大きな効果を生み出します。
まとめ
顎関節症の治し方について解説しました。
顎関節症は口を開けにくくなったり、顎から異音が鳴ったりします。
顎関節症の治し方としてはマウスピースの使用が一般的であり、外科的な手術はほとんど行いませんが症状が悪化すると外科的手術が必要です。
また、顎関節症の治療をしてもセルフケアなどが不十分な場合、再発する可能性が高いです。
森下ベリタス歯科医院は顎関節症の知見・治療経験豊富な医師が在籍しており顎関節症の治療を得意としています。
顎関節症でお悩みの方はぜひ一度当院へご相談ください。