矯正歯科を途中で変えると費用は返金される?注意点も解説

一大決心をして矯正治療を始めても、転勤や引っ越しなど、やむを得ない理由でどうしても今通っている矯正歯科クリニックでの治療を継続するのが難しくなってしまうことがあります。
しかし、矯正歯科を途中で変更する場合、費用や治療期間に影響が出ることがあります。中には支払った費用が返金されないケースもあるため、注意が必要です。
この記事では、矯正歯科を途中で変える場合の費用についてや、矯正歯科を途中で変える場合の注意点について解説します。
矯正歯科を途中で変える場合の費用はどうなる?
矯正治療は、特定の疾患の治療など特別な理由がない限り、原則として自費診療となるため治療費用が高額になります。
そのため、やむを得ず矯正歯科を途中で変える場合の費用について気になっている方も多いようです。一概には言えませんが、中には返金されるケースもあります。
ここからは、矯正歯科を途中で変える場合の費用について解説します。
治療の進行状況に合わせて費用が精算される
矯正治療の治療費については、如何なる理由で治療を中止する場合でも、治療の進行状況に合わせて清算することが決められています。
そのため、治療の進行状況に合わせて支払い済みの費用が返金されるか、支払いが済んでいない場合は不足分を支払うことが一般的です。
なお、公共社団法人日本臨床矯正歯科医会では、以下のような診療報酬の清算目安を提唱しています。
治療の段階 | 返金額の目安 |
全歯の整列 | 60〜70%ほど |
犬歯の移動 | 40〜60%ほど |
前歯の空隙閉鎖 | 30〜40%ほど |
仕上げ | 20〜30%ほど |
保定 | 0〜5%ほど |
矯正歯科クリニックを変えなければいけなくなったときは、そのことがわかった時点ですぐに主治医に相談しましょう。治療費の清算と一緒に、新しい矯正歯科クリニックの担当医に渡す紹介状や治療継続依頼書を作ってもらう必要があります。
マウスピースは返金対応が難しいことが多い
ワイヤー矯正(ブラケット矯正)の場合、治療の進行状況に合わせた返金を受けられることがありますが、マウスピース型矯正装置を使用するマウスピース矯正の場合は、返金対応が難しいことが多いでしょう。
これは、マウスピース矯正の場合、治療に使用するマウスピース(アライナー)を先にすべて作成してから矯正治療を開始するためです。マウスピース矯正では、一定期間ごとにマウスピースを交換しながら少しずつ歯を動かしていきます。
すでに作成済みのマウスピースの費用は支払う必要があるため、返金は難しいでしょう。
系列の矯正歯科クリニックであれば、以前使用していたマウスピースを使用して治療を継続できる可能性もありますが、別の矯正歯科クリニックではそれも難しくなり、作成したマウスピースは無駄になってしまいます。
全額返金は難しい
矯正治療を途中でやめる場合、基本的に全額返金は難しくなります。
ただし、途中解約の原因が矯正歯科クリニック側にある場合は、全額返金に応じてもらえる可能性があります。例えば、治療の不手際や失敗によって症状が悪化した場合などです。
転院の際には追加費用が発生する
また、注意したいのが、転院には追加でさまざまな費用が発生するという点です。
新しい矯正歯科クリニックに提出する紹介状、継続治療依頼書、転医資料といった書類は無料で作成してもらうことはできず、作成費用がかかります。
さらに、転院先の新しい矯正歯科クリニックで矯正治療を行う場合、検査費用や診断料が発生します。
歯列矯正は自由診療のため、精密検査でかかる費用にも保険は適用されません。クリニックによっても異なりますが、10,000円〜65,000円ほどの精密検査費用がかかります。
矯正歯科を途中で変える際の流れ
矯正歯科を途中で変えることが決定したら、なるべく時間をかけずに素早く行動することが大切です。時間をかけてしまうと、余計な費用が発生したり、治療の進み方に悪い影響が出てしまう可能性があります。
ここからは、矯正歯科を途中で変える際の転院の流れをご紹介します。
- 通っている矯正歯科クリニックの主治医に転院について相談する
- 転院先を決定する
- 紹介状や診断書、資料、治療継続依頼書などを作成してもらう
- 治療費を精算してもらう
転勤や引っ越しなど、転院することが決まったら、次回の来院を待たずに電話などで連絡して話しておきましょう。転院先は、自分で探すこともあれば、主治医から紹介が受けられることもあります。
スムーズに転院できるよう、引っ越しなどの合間にしっかりと手続きを進めておきましょう。
矯正歯科を途中で変える前に確認すべきこと
転勤や引っ越し、留学などの理由の他にも「思ったよりも痛かった」「現在の矯正歯科クリニックの主治医との相性が良くない」といった理由で転院を考える方もいます。
矯正歯科を途中で変える場合は、スムーズに転院するためにも契約書の内容を確認しておきましょう。
矯正治療を開始する前に書く契約書の中には、中途解約や返金などについての記載もされているため、必ず前もってチェックしておくことが大切です。
もしも矯正歯科クリニック側に契約違反と思える点があれば、返金が受けられる可能性もあります。
矯正歯科を途中で変える場合の注意点
ここからは、矯正歯科を途中で変える場合の注意点をご紹介します。
やむを得ず治療を行う矯正歯科を変更する場合は、注意点を理解した上で、今後のためにも素早い転院をしましょう。
費用が返金されない可能性がある
矯正治療を途中でやめると、これまで治療を続けていた矯正歯科でかかった費用が返金されない可能性があります。特に、一括払いで先にすべての費用の支払いを済ませている場合は、返金に対応していないことが多いようです。
ただし、矯正歯科を途中で変える場合の返金などについては、治療の状況や矯正歯科クリニックごとの方針によって異なるため、詳しい内容については現在通っている矯正歯科クリニックの医師に直接確認してみるといいでしょう。
転勤や引っ越しなど、もしも今後転院の予定が考えられるのであれば、矯正治療を開始する前の時点で「矯正歯科を途中で変える場合、費用はどうなりますか?」などと聞いておくといいでしょう。
治療が長引く可能性がある
矯正治療は、定期的に矯正歯科クリニックに通院して、歯を少しずつ段階的に動かしていく精密な歯科治療です。
そのため、転院の準備などで治療が途切れてしまうと、その間に口腔内の状態が変わってしまう可能性があり、場合によっては治療期間が延びてしまったり、最初からやり直す必要が生じることがあります。
治療のやり直しや、治療期間が延びると追加費用がかかることもあるため、可能な限り時間をかけず、スムーズに転院できるようにしましょう。
虫歯・歯周病リスクが高まる可能性がある
ワイヤー矯正に使用するワイヤーやブラケットといった固定式の装置がついていると、歯磨きの難易度が上がり、普段通りに歯を磨いても汚れが取り切れないことがあります。
また、汚れも溜まりやすいため、矯正歯科クリニックの転院によって治療が中断されると、その間に虫歯や歯周病になるリスクが高まる可能性があります。
口の中は、鏡などを使っても、細かな部分までしっかり見ることが難しい部分です。「知らないうちに虫歯や歯周病が進行してしまっていた」ということにならないよう、調整やメンテナンスの期間が長く空きすぎないように注意しましょう。
後戻りのリスクがある
歯並びを綺麗にするために歯科矯正を始めても、治療を途中でやめてしまうと、せっかく整えた歯が元の位置に戻ってしまうことがあります。
矯正治療で歯並びを整えた後は、歯が元に戻らないようにリテーナーと呼ばれる保定器具を装着する必要があります。矯正が終わったばかりの歯は周囲の骨としっかり固定されておらず動きやすく、以前の位置に戻ろうとするためです。
転院のために治療を途中で中断すると、後戻りしてしまう可能性があるため、治療の間隔が空き過ぎないよう、くれぐれも注意しましょう。
まとめ
矯正歯科クリニックを途中で変える場合、ワイヤー矯正やブラケット矯正であれば、治療の進行状況に応じて返金(もしくは追加費用の支払い)が行われることが多いようです。
しかし、対応は矯正歯科クリニックの方針によっても異なるため、詳細は通っている矯正歯科クリニックの医師に詳しく聞いてみましょう。
矯正治療は基本的に、一度治療を開始したら転院はせず、治療を開始した矯正歯科クリニックで最後まで治療を完了させるのがおすすめです。その方が余計な手間もかからず、転院のための追加費用が発生することもありません。
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