歯科矯正用アンカースクリューとは?メリットやデメリット・注意点を解説!

矯正治療を受けるときに、「アンカースクリュー」という言葉を聞いたことはありませんか?

アンカースクリューとはチタン製の小さな医療用ネジで、顎の骨に埋め込むことで、効率的に歯を移動させることができるものです。金属アレルギーの心配もなく、埋入や抜去も比較的簡単に行えます。

この記事では、歯科矯正用アンカースクリューについて詳しく解説します。アンカースクリューの仕組みや効果、メリットやデメリットなどを知っておけば、自分に合った矯正治療法を選ぶのに役立つはずです。ぜひ記事を参考に、自分に合った矯正治療を受けてみてください。

目次

歯科矯正用アンカースクリューとは?

矯正歯科で使用する「アンカースクリュー」とは、治療で使われるチタン製の医療用ネジのことを指します。サイズは直径1~2mm、長さは6~10mmほどと、とても小さなネジです。

従来の矯正治療方法の場合、矯正装置を設置した歯同士を押したり、引っ張ったりすることで歯を移動させるという仕組みです。そのため、動かしたくない歯が動いてしまうことがありました。

歯科矯正用のアンカースクリューでは、歯茎の上から顎の骨に打ち込んで固定したネジを固定源として、歯を移動させます。これにより、動かしたい歯だけを効率的に動かすことが可能です。

アンカースクリューを使うことで、これまでは非常に難しいとされていた歯の移動も行えるようになりました。

アンカースクリューを使った矯正治療は「インプラント矯正」と呼ばれることもありますが、人工歯根を埋め込んで失った歯を補うインプラント治療とは別のものです。アンカースクリューを埋め込む作業は1本あたり5~15分くらいで終わりますし、血や腫れもほとんど出ません。

ネジを埋め込むということで体への負担が大きく感じるかもしれませんが、現在では低侵襲(体への負担が少ない)かつ、安全で簡単に、痛みを抑えてアンカースクリューを使った治療が可能です。

歯科矯正用アンカースクリューに痛みはある?

アンカースクリューは、骨に小さなネジを埋め込むということで「大掛かりな手術」「痛いのでは?」といったイメージを持っている方も多いかもしれませんが、骨には痛覚がないため、歯を削ったり抜いたりするときのような痛みの心配はありません。

ただし、歯茎がチクッと痛むことがあるため、局所麻酔をした上でアンカースクリューの埋め込みを行います。痛みが苦手な人や、なるべく少しの痛みも感じたくない人は、あらかじめ矯正歯科医師に痛みについて相談しておくといいでしょう。

使用中の痛みや違和感についても、1週間ほど経過することで感じなくなる方がほとんどです。

もしも、しばらく経過してから痛みが生じた場合、炎症が起きていたり、アンカースクリューが緩んでいる可能性が考えられるため、なるべく早めに矯正歯科クリニックに連絡して、診てもらいましょう。

歯科矯正用アンカースクリューのメリット

矯正歯科での治療に使われるアンカースクリューには、多くのメリットがあります。ここから詳しく見ていきましょう。

困難だった歯の移動が可能になる

奥歯をもっと奥に移動させたり、歯を歯茎側に引っ込める処置は、従来の方法では困難でした。

しかし、アンカースクリューであれば、埋め込む場所や方向を変えることであらゆる方向から歯を引っ張ることができ、難しい方向への歯の移動に対応できます。

治療期間の短縮につながる

従来の矯正治療法では、矯正装置を装着して歯を動かすため、目的の歯だけでなく他の歯も引き合う形になります。そのため、力のバランスを考慮しながら、少しずつ段階的に歯を移動させていく必要があり、治療には時間がかかりました。

しかし、アンカースクリューを使って顎の骨にしっかりと固定源を作ることで、不要な歯の動きを抑えて一度にたくさんの歯を移動させることが可能になりました。

これによって治療期間を短縮できるようになり、治療がスムーズに進めば、最大で6ヶ月ほどの短縮が可能です。

外科手術を避けられる可能性がある

アンカースクリューでは、これまでは困難だった方向へも歯を動かすことが可能です。そのため、従来の方法であれば外科手術が必要な症例にも、手術なしで対応できる可能性があります。

例えば、ガミースマイル(笑顔になったときに歯茎が3mm以上露出する状態)や、極端に歯列が乱れている場合、顎が引っ込んでいる場合、口元に歪みがある場合などは、外科的な治療が必要になることもありましたが、アンカースクリューを使用することによって手術をせずに症状を改善できるようになりました。

骨格的な問題が大きい場合は外科手術との併用が必要となるケースもありますが、アンカースクリューで外科手術を避けられる可能性が高まったことは、患者さんの負担軽減にもつながる大きなメリットといえるでしょう。

抜歯せずに矯正できる可能性がある

矯正治療を行う際、抜歯を行うケースも少なくありません。虫歯や歯周病になった歯だけを抜くとは限らず、健康な歯を抜くことになるケースもあるため、患者さんの負担となってしまうことがありました。

すべてのケースで抜歯が必要なくなるというわけではありませんが、症例によっては、アンカースクリューを使用することで抜歯をしなくても矯正ができるようになる可能性があります。

歯科矯正用アンカースクリューのデメリット・注意点

多くのメリットがあるアンカースクリューでは、いくつかのデメリットや注意点もあります。

アンカースクリューが脱落する可能性がある

アンカースクリューはインプラントとは違い、いつか取り除く必要があるので、骨と化学的に結合しないようになっています。

そのため、技術の高い医師でも成功率は80~90%とされており、骨の状態や口腔内の衛生状態によっては、アンカースクリューが緩んだり、脱落する可能性があります。

脱落した場合、再埋入が必要なことがある

アンカースクリューがなんらかの理由で脱落してしまった場合、再度埋め込む必要があります。

埋め込んだ部分の穴は数ヶ月ほどで回復しますが、再埋入は最初に埋め込んだ部分とは位置をずらし、別の部位に埋め込みます。

歯根を傷つける可能性がある

アンカースクリューは歯の根と根の間に埋め込むことが多く、その際に歯の根を傷めてしまう可能性がゼロではありません。

神経や血管の損傷リスクも考えられるため、アンカースクリューを埋入する際は、CTやレントゲンなどの機器を使い、精確な診断を行うことが重要です。

炎症や感染を起こす可能性がある

アンカースクリューは骨に埋め込みますが、頭の部分は口腔内に飛び出しています。毎日しっかり歯磨きなどの口腔ケア・清掃ケアを行い、お口の中の状態を清潔に保たないと、細菌感染を起こしてしまう可能性があります。

感染を起こすと、炎症や腫れが生じる可能性があります。また、アンカースクリューと接している粘膜に口内炎ができることも。気になる症状があれば、すぐに治療中の矯正歯科クリニックに相談しましょう。

アンカースクリューを使用する矯正についてのQ&A

ここからは、歯科矯正用のアンカースクリューを使った矯正治療に関連するよくある質問をご紹介します。

アンカースクリューはどんな人が行う治療ですか?

アンカースクリューは、どんな歯並びの方も使用可能です。

本来であれば抜歯対象となる症例を非抜歯で矯正する場合、装置を装着する時間が取れない場合、外科手術を避けたい場合などに有効です。

アンカースクリューの傷跡は残りますか?

歯が目的の位置に来たら、埋め込んだネジは取り出します。アンカースクリューによってできた骨や歯茎の傷口は小さく、数ヶ月ほどかけて治癒していきます。傷跡が残る心配もありません。

アンカースクリューを付けているときは目立ちますか?

アンカースクリューは多くの場合、歯茎や上顎、奥歯の方に埋め込むため、目立たないことがほとんどです。

まとめ

以上、歯科矯正用のアンカースクリューについてご紹介しました。

アンカースクリューは矯正治療の効果や効率を高めることができる優れた治療法ですが、一方で感染や炎症などのリスクもあります。お口の中の状態が不衛生だと、アンカースクリューを埋入した周辺の歯茎が感染を起こし、外れたり、グラグラしてしまうことがあるため、清潔な状態を保つことが大切です。

アンカースクリューはどんな歯並びの方にも使用可能ですが、自分に適しているかどうか自己判断は難しいため、矯正歯科医師と相談して、自分に最適な治療法を選ぶようにしましょう。

森下駅から徒歩2分・清澄白河駅から徒歩9分の場所にある森下ベリタス歯科では、一人ひとりの患者さんと向き合い、その方に合った治療を提供できる様にする「インフォームド・チョイス(Informed Choice)」をポリシーにしております。

また、痛みゼロの無痛治療を心掛けておりますので、アンカースクリューの痛みが心配という方も安心してご相談ください。

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森下ベリタス歯科は江東区にある歯医者です。
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